大学入試 『英検』など利用拡大「優秀な学生確保」目的
英語試験を免除の大学入試 成績の基準設定課題
実用英語技能検定(英検)やTOEFLなど、
英語の「読む」 「聞く」 「話す」 「書く」の4技能を測る
民間の英語試験を入試で利用する大学が増えている。
利用校には「優秀な学生が確保できた」との声がある一方、
周知不足や、求める成績をどの程度に設定するかなどの
課題も浮かぶ。
文部科学省が3月下旬公表した大学への調査では、
国公私立大の43%にあたる299校が
民間英語試験を利用していた。
入試の種類別では、推薦入試が203校、
AO(アドミッションーオフィス)入試168校、
一般入試44校だった。
利用の理由を尋ねたところ、
「優秀な学生の確保」(64%)、
「4技能が測定できる」 (48%)などが多かった。
大学側が受験生に求める民間英語試験の成績レベルは、
英検換算で「高校程度」とされる
準2級~2級相当が合わせて80%。
大学生レベルの準1級相当以上を求めた入試も13%あった。
同時に実施された大学生約1万3500人への調査では、
高校生の時に民間英語試験を受けたと回答し、
成績も答えた約2400人中、
準1級相当以上の実力だったのは4%で、
大学側が求める成績の方が高い傾向が読み取れた。
関西学院大では今春、
民間英語試験で英検準1級相当以上の成績を取っていれば
英語を課さない入試を導入。
全111学部で計97人が志願し、61人が合格した。
村田治・同大学長は「高校生の4%程度とされる
英語力の受験生を集めることができた。
英語以外の科目も好成績の場合が多く、
新入試は成功だった」と話す。
福井大や南山大は今春の一般入試から、
大学生レベルの成績を持つ受験生を優遇する制度を取り入れたが、
利用者はいなかった。
南山大の中裕史副学長は「新七い入試の仕組みで、
高校生にはなじみが薄かった」と分析する。
上智大は、日本英語検定協会と共同開発した
英語試験 「TEAP」の成績を出願資格の一つとした
入試を昨年から実施。
成績が各学科の設定した基準点を超えれば英語試験を免除している。
昨年春は定員計384人に9106人が殺到。
今春は、大半の学科で基準点を上げるなどした結果、
志願者数は4634人になった。
藤村正之同大副学長は「昨年春の基準点が低く、その反動が出た。
適切な基準点を設定できるようになるまで
しばらくは試行錯誤が必要になるだろう」と話している。
読売新聞 2016-03-30