ビアリストク博士と共同研究者らは、その後の研究で、同年齢かつ同じ進行段階にあるモノリンガル(一言語だけ話す人)
とバイリンガルのアルツハイマー病患者の脳の画像を調べた。
その結果、バイリンガルの人の脳は、生理的にはより悪い状態(多大な頭脳労働を必要)にあるらしい
ことが分かった。
ビアリストク博士はこれを、バイリンガル能力がアルツハイマー病の進行自体を遅らせるのではなく、
記憶障害に対してうまく対処するのを助けることを示唆するものだとしている。
トロント大学と提携している老化研究機関ベイクレストのロットマン研究所の上級研究員であるクレイク博士らの
グループは、 こうした結果を年内に発表する予定であるという。
しかし、複数言語使用(マルチリンガル)能力の潜在的メリットの実像を複雑にするほかの研究もある。
モントリオールのメモリー・クリニックでの約600人の患者の医療記録の最近の見直しは、三つ以上の
言語に堪能な人と、英語を習得する前にフランス語を習得したバイリンガルの人の場合には、
保護的メリット(記憶障害を呈するのが遅いこと)があることを明らかにした。
しかし、英語だけ話す人は、英語を最初に習得したマルチリンガルの人と遜色(そんしょく)なかった。
この研究グループの1人である、モントリオールのジューイッシュ・ジェネラル・ホスピタルの認知神経学者で
マギル大学教授のハワード・チャートコウ氏は、こうした減少が、英語を話す人の遺伝的特徴、
栄養状態、ストレス・レベル、生活環境によって説明できる可能性があるとしている。
バイリンガルについての同様な研究には、ベルギーのゲント大学のウーター・ダイク教授など、欧州の研究者も
取り組んでいる。
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◎記事一覧
・英語を成人から習得する訓練が認知症になりにくくするという情報その1
・英語を成人から習得する訓練が認知症になりにくくするという情報その2
・英語を成人から習得する訓練が認知症になりにくくするという情報その3